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開発と環境 - 「はかる」ことの重要性

今回の記事は「はかる」ことについて、ちょうど面白い論文があったので紹介します。

調査研究報告:「はかる」ことがくらしに与える影響の研究 - メコン・ウォッチ

印象的な部分を要約すると、東南アジア半島部に位置するラオスはメコン川流域の国で、
中部を流れるメコン川の支流のトゥン川が国土を潤す森と水の豊富な地域だという。ここ
にナムトゥン第2ダムの建設が決まり、完成すると1,070MWの発電能力を持ち、その電力
の95%を隣国のタイに輸出し、売電収入で貧困を削減を目指すという。2005年3月31日に
世界銀行(日本がアメリカに次ぐ第2の出資国)が融資を決定し、事業は動き出した。

ここでポイントなのは「経済開発」ではなく「貧困削減」を目的に開発するという名目が
つけられていることである。ちなみに、1日1ドル以下の生活者を「貧困層」とか「絶対貧
困」と言うらしい。問題なのは、本来は水田・林業・牧畜・淡水魚業で自給的な生活をし
て成り立っていた人々に、「貧困削減」を掲げて半ば強制的に現金を使わせる「グローバ
リゼーションという名の市場化」を押し付け、自由主義(資本主義)経済の市場を広げて
いるという実態だ。それだけでも大きなライフスタイルの破壊であるが、更に多くの自然
環境をも破壊している実態がここにある。しかも、それを後押ししているのが間接的に日
本であることを我々は知っておかなければいけない。ダムが建設されることで一時的な土
木に携わる雇用は創出されるが、持続可能なライフスタイルである従来の自然と一体とな
った暮らしはできなくなる。

事業の進捗状況は年に2度、世界銀行を経由して報告される。当初の目標は「5年間で所得
を倍増する」というものであるため、彼らの貧しさの度合いは所得で決定されることにな
る。しかし、この地域の人々は自給で元来お金への依存度が低かったのが、現金化を強い
られたことで賃金労働をしなければいけなくなった。更に、牧畜や田畑を現金化し手放す
必要にも迫られた。自然だけではなく、そこでのライフスタイルも失った。しかし、それ
は所得という数字に反映されていないのである。

ここに「はかる」ことの落とし穴がある。外部から持ち込んだ尺度で「はかる」ことで、
生活の実態を反映しない評価がなされていることである。かつて、農村の人達が「はかっ
て」いたのは、絶対的なものではなく土地や労働者の事情を反映したものだった。「はか
る」ことは人間社会の内側から発生したもので、単なる物理・化学的な量を示したもので
はなかったということである。

イギリスなどは、なぜあれほど圧倒的な優位な立場に立てたのか、アルフレッド・クロス
ビー氏は「事物を数量的に把握する」ことと関連して理由付けた。ヨーロッパが力を持っ
た背景には「数量化」がポイントである。

P.27から引用 つまり、本研究の問いは「私たちがNGOとして現場でやってきたことって、結局どういう 意味があるのだろう」という疑問であり、 本章で引用した「当事者性」の研究の実践なの である。本章はその問いに対する答えを探すために、研究の世界から座標軸をいくつか借 りたに過ぎない。とは言え、それには十分意味がある。自省を込めて言えば、NGOは独善 的になりやすい。自分たちが正しいこと、良いことをしている、という強い思いに囚われ がちである。自分たちがやってきたことを一歩引いて考えることは、問題解決を志向する NGOとして大切なプロセスなのではないだろうか。

まず、ここまで詳細に研究成果を出しているNGOがあること、また冷静に活動を見つめて
いることが好印象です。

〜続く(追記予定)

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