○GDPとGPI
GDPはGross Domestic Productの略で、資産(例:家や土地)以外の所得、
つまり毎月入る給料のようなものです。一般的に、GDPは国内総生産と呼ばれ、
経済の成長を示す数値として使われてきました。
ところが、一説によるとGDPは人間にとって嫌なことがあると上昇するとも言われます。
戦争や交通事故がその例です。
人間は生き物ですから、経済だけが成長すればハッピーというわけにはいきません。
今までの経済のみを注目するGDPに対し、他の価値観や基準を計算に取り入れた値が
GPI(Genuine Progress Indicator)、いわば真の進歩指標です。
○環境汚染抑制
ところで、世界中の経済を支えているのは自然環境(自然の空間)にある資源です。
資源がなくなれば、経済成長は発展のしようがありません。そこで、自分達で資源の利用を
抑制するシステムをつくろうとしているのが、例えば排出権取引や環境税の導入です。
地球汚染物質をたくさん排出すれば同時に税金がかかり、逆に環境負荷の低い製品を作り出せば
安く済ますことができます。
環境負荷の抑制について求められるのは企業による製品の情報開示です。商品が環境負荷にどの
程度配慮されたものなのか、消費者が知る手段が必要になります。この情報開示も統一的な
基準によるものでなければいけません。そこで、考え出されたものにLCA:ライフサイクルアセスメント
という環境影響評価というものがあります。製品の誕生から廃棄・処理まで全ての環境影響を計算に
盛り込み、結果的にどの段階ではどのような環境負荷を発生しているのかを特定することができます。
○自然災害被害額がGDPを超える
さて、ここで一つ面白いデータがあります。
JAXAドメインなので、それなりの信憑性のあるデータを紹介しておきます。
http://i-space.jaxa.jp/enterprise/jaxa_enterprise05.pdf
このPDFの11ページにRatio of Amount of Damage to GDPという項目があります。
自然災害による被害額がGDPを超えてしまう、というものです。
(GNPという存在もありますが、今回はGDPのみに注目)
つまり、より効率的な防災対策は、このような経済的損失をも吸収します。
地球温暖化を中心とした昨今の環境問題は、このような観点からの指摘も多いようです。
理由は何であれ、数値的に温暖化していることは事実で、今以上の災害や問題が増加する
ことが想定されています。これがいわゆる環境問題ですが、社会に不利益を与える災害が
突然増加すると今の社会システムでは立ちゆかなくなります。そんなわけで、現段階から
社会システムに「二酸化炭素」を筆頭に抑制や対策費用を捻出するための仕組みを取り入
れて新しい災害に対応した社会システムを世界的に築いていこうという方向にあるのだと
思います。これらの導入により、経済に柔軟性を持たせ、増加する環境問題(災害など)に
対処していくというのが大きな流れではないでしょうか。
家庭で月毎に、家の補修費用を貯めて台風の被害に備えたり各種保険に入るのと似ている
のかもしれません。企業も儲かりますし、その空間で生活する私たちも安定した暮らしが
できます。
○排出権取引の歴史
二酸化炭素の排出権取引の原型になったのが、アメリカで行われている環境アセスメント
の一種であるミティゲーションバンキングです。これは、生態系が存在する土地をHEP
と
いう評価手法で価値付けを行い、取引に用いるというものです。何らかの土地開発が行わ
れると同時に代替の自然を復元することが定められているアメリカでは、自然を復元する
業者が既に復元した土地を「商品」として売り出すわけです。これを開発者が購入するこ
とで、自然を復元したとみなす仕組みです。開発側にとっては既に復元された土地を購入
できるので、確実に復元が完了していることは「長年管理して失敗した」というリスクが
なくなる点で利益となります。一方、復元を専門に行う業者(ミティゲーションバンカー)
は、まとまった地域の自然を復元できるということで、生態系にとっても復元効果の高い
地域を生産できます。このように、双方が利益を享受できる点で非常に理にかなった仕組
みでしょう。
この仕組みは、第一に回避、第二に最小化、第三に緩和(ミティゲーション)の流れが前
提となっており、始めから「復元すれば開発しても良い」というものではないことも重要
です。規制がなければ見境なく進む開発を、システムで抑え込む欧米の特徴が現れていま
す。日本は災害とともに歩んできた社会ということもあり、節度ある自然との融和が行わ
れてきた傾向にありますが、文明が進むにつれ、資本主義が活発化するにつれ、失われつ
つある自然をどう保全していくかという問題に突き当たった現在は、欧米のシステムにも
目を向けることが、新しい日本的な解決策を産み出す参考になるのではないかと思います。
関連@HEP
に関する参考資料
★このブログには関連記事が複数あるので、右の検索ボックスに関連ワードに入力して関係する
記事をお読みください。
関連@富士山を測る/伊能忠敬からGPSまで(サイエンスチャンネルの動画)
富士山の高さを初めてほぼ正確に測った伊能忠敬の測量技術から
最先端のGPS衛星による位置確認システムまでを紹介する。
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080618追記
asahi.com(朝日新聞社):ジュースや菓子にCO2排出量表示へ - ビジネス
1つの選択手段になり得るか…!?
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080806追記
報告:気候変動が米国各州にもたらすコスト、数十億ドル規模か?(日刊温暖化新聞)
こんな新聞があるんですね。
欧州が率先して取り組むあたりに、彼らの得意な金融の動きや
気候的な彼らの地域の今後の行方が見えるような気がします。
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081023追記
スペイン元首相、「気候変動への取り組みは新興宗教のようなもの」 国際ニュース : AFPBB News
それなりの地位のある人の発言としては初めてかもしれません。
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